マケドニアには結局オフリドも入れて6日間滞在し(内1日コソボ)、移動することにした。
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それはそうと、3泊したスコピエの宿ではちょっとしたトラブルがあった。
宿の客のひとりに韓国人のおじさんがいた。
この人がちょっと困った人だったのだ。

自分たちがチェックインした日、到着早々しほさんに偶然再会したため、楽しくて共有スペースで談笑していた。それはたぶん客観的に見てもごく普通の声の大きさだったと思う。そこに突然、横にいたそのおじさんからもう少し静かにしてくれないか?と苦情が入ったのだ。その時点ではまだその人がどんな人か知らなかったし、意図せず自分たちの声が大きかった可能性もあるので、謝罪して大人しく多少声のボリュームを落とした。

夜、再び共有スペースで今度はポーランドの女の子も入れて「英語で」談笑していた。すると突然ドミトリーで寝ていたおじさんが怒鳴り込んできて、こう言った。


「うるさくて寝れやしない!ここは日本語教室か!」


たしかに共有スペースはドミトリールームのすぐ横でドア1枚隔てただけだが、ドアを閉めてしまえばほとんど声は聞こえない。また、これまで何十回もこういったホステルに泊まってきた経験からしても、一般的に、他の宿泊客に苦情を言われるような声のトーンではなかったと思う。時間もまだ21時でそれほど深夜ではなかった。しかし、もちろんまだ21時とは言え、その時間に寝る人もいるし、おじさん側からしたらうるさかったのかもしれない。また自分たちの声が予想以上に大きかった可能性もある。それは申し訳なかったと思って再び謝罪した。

しかし「日本語教室か!」という発言には悪意を感じた。この時日本人が4人いたとはいえ、ポーランド人の子も一緒に話していたので、多少日本人同士での日本語の会話はあったものの、基本的には英語で話していたからだ。


昨今、日韓関係は国と国とのレベルではいろいろなところで問題や軋轢がある。しかし個人的に韓国人に対して「特別な感情」はなく、また初めて会う人に対して、これは韓国に限らずだが、その人の国の情勢や日本との関係から来る先入観は持たないよう気をつけている。しかし韓国と日本について言えば、実際にお互いに対して良くない感情を持っている人も双方少なくないだろう。だから、この時のおじさんの発言は「日本人」に対する「敵意」のように感じてしまった。もしかしたらこのおじさんは、「日本人」に対して特別に憎悪のようなものを抱いているのかもしれない、と思った。

この一件の後も、私がキッチンで歯を磨いていると、ここはキッチンだ!歯を磨くな!洗面所に行け!と怒られたことがあった。確かに正論ではあるし、お互いに気を遣わないといけない場所であることは承知しているが、こう言った多数の人が共同でシェアしているホステルではごく「一般的」なことだし、管理人でもない宿泊客にそこまで踏み込んで指摘されたことは今まで一度もなかった。むしろ、自分のことを棚に上げて言えば、夜中までドミトリー内でどんちゃん騒ぎだとか、目に余るような行動をしている人々を多数見てきたが、共有の場だから仕方ない、と目を瞑る部分も多々あった。安い値段で泊まれるし、むしろ他の宿泊客と交流したりできる部分で敢えてこういう環境を選んでいる人がほとんどだからだ。それが嫌ならお金を出してそういう懸念のないホテルの個室に泊まればいいだけの話だ。
だからそういった経験上、おじさんの言動は「日本人」である自分のみに対して、ある「特別な感情」を持って行われていると思い込んでしまったのだ。

ところが、このおじさんはこの後、他の人に対しても国籍を問わず、小さなことでいちいち突っ掛かり、トラブルを巻き起こしたのである。

チェックインしたばかりのスペイン人の女の子2人組がドミトリーで髪を乾かしていると、ドミトリーで髪を乾かすと臭い!洗面所でやれ!と言って激怒。この時おじさんはドミトリーから離れたキッチンで料理をしていたにも関わらず、スペイン人の女の子たちがドミトリー内で髪を乾かしているのを察知して、わざわざ料理中に怒鳴り込んでの出来事だった。この時はスペイン人の女の子もおじさんに対抗し、大げんかになった。(ちなみに髪は洗面所で乾かさないといけないという宿の規則はない。)

また別の日はフランス人の男の子と喧嘩になった。男の子は共有スペースでタブレットで音楽を流していた。音は多少大きかったが、BGM程度の音量で、その場でご飯を食べていた私たち夫婦は特に気にも止めていないレベルだった。ホステルでは本当によくある光景だった。
ところが、後からやってきたおじさんもイヤフォンで音楽を聴き始め、男の子の音楽がうるさい!俺の音楽が聞こえない!と怒り始めたのだ。これに対して、フランス人の男の子は対抗した。


「俺が先に来て音楽を聴いている。ここは共有スペースで他の客と話をしたり、音楽を聴いたり、テレビを観たりするスペースだ。ここにいる日本人たちも何も苦情を言っていない。百歩譲って満場一致でうるさいと言われればボリュームを落とすが、そんなに自分が音楽を聴きたいならドミトリーの自分のベッドで聴けばいいじゃないか!それか、こういう環境が嫌なら静かに過ごせるシングルルームのあるホテルに移れ!後から来ておいて自分の音楽が聴こえないからボリュームを落とせなんて、エゴイストの言うことだ!!」


そう。なんのことはない、おじさんはただのエゴイストだったのである。ただの自分勝手なワガママなおじさんだったのだ。


それを、彼が韓国人だから「日本人」に対して「特別な感情」があるなんて思ってしまった自分が恥ずかしくなった。無意識に自分の方こそ色眼鏡で彼を見ていたんじゃないだろうか。


一方、もちろん彼が正しいことを言っている部分も多分にある。共有スペースでの過ごし方、振る舞い方。今までに何度となくホステルに泊まり、そこでの他人の振る舞いを見て、それを正すことができず諦め、自分も他人に迷惑をかける側に知らず知らずのうちになってしまっていた。伝え方は下手くそ過ぎるし、ちょっと強引な部分は否めないが、当たり前になってしまっている現状に警鐘を鳴らしていただけなのかもしれない。



おじさん、わかったよ。

気をつけるよ。

気づかせてくれてありがとう。


おしまい
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