砂漠の街ワドレーに来て、2〜3日過ごした後、そこから車で1時間ほどのウイリクタ砂漠に1泊2日のキャンプに出かけた。

ウイリクタ砂漠は、メキシコ中西部の山岳地帯に住んでいる先住民ウイチョル族が聖地として崇めている土地で、古くからこの地への巡礼を行ってきた。今でも一部のウイチョル族は2月頃になると住んでいる地域から400〜500kmも離れたウイリクタ砂漠まで徒歩で巡礼の旅に出るとのことだ。
このウイリクタ砂漠には「ペヨーテ」と呼ばれる小さなサボテンが自生しており、このペヨーテに多少の幻覚作用があることからウイチョル族はペヨーテを使った儀式を太古から続けてきた。もちろん、一般の人が食べてみることも可能で、せっかくなので私たちもちょっと食べてみようということになった。(※食べること自体は合法だが、ウイリクタ砂漠からのペヨーテ持ち出しは、ウイチョル族を除いて違法なので注意。)

ところが出発の朝、前夜までなんともなかったのに、起床すると完全に風邪の症状があった。大切な時はいつだって必ず動かなくなる、つくづく都合のいい身体である。
しかしこの時点ではまだそこまで身体も辛くなく、また、そもそもこのキャンプのためにこんな辺境まで来たようなもので、今更自分だけ行かない、とも言い出せず強行で参加することにした。

コウタロウ氏が手配してくれたボロボロのジープ(1962年製)で砂漠へ向かう。例の如く天井の上に乗車。体調の悪い私だけ助手席に座る。
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別の惑星に来たかのような風景が広がるウイリクタ砂漠。
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砂漠というとつい最近モロッコで行ったサハラ砂漠は所謂砂漠のイメージの「砂の砂漠」だったが、ここウイリクタ砂漠は低木やサボテンがそこら中に生い茂りサハラとは対照的な「緑の砂漠」だった。
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キャンプ地に着いた頃には体調は悪化し、来たことを多少後悔し始めていた。

フラフラでテントを建てるのを手伝い、早々にテントで横にならせてもらう。
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1時間ほど横になり起きるとご飯を作ってくれており、それはちゃっかり頂く。
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夕方頃になり、自分以外は散歩も兼ねてペヨーテ探しに出かけた。私はと言うと、引き続きテントで寝ることにした。

2時間ほど経ってテントの外に出てみると、かなり日が傾いて日が暮れかけていたがまだ帰ってきていなかった。

1時間くらいで戻ると言っていたのに、少し遅い。
そういえば、彼らが出発して1時間半くらい経ったとき、1度コウタロウ氏が帰ってきて、「あれ?やっぱりまだ戻ってきてない。」的なことを呟き、再度出かけて行ったのをテントの中でうっすらと寝ぼけながら聞いたような気がする。その経緯があっての、この日没直前まで誰も帰ってこない事態。

砂漠と言っても背丈以上の木が覆い茂り見通しは悪く、1度迷えば元の場所に戻ることは容易ではない。ましてや段々薄暗くなるこの時間である。
物音ひとつしない砂漠の環境も不安に拍車をかけた。
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もうほとんど暗くなってきて、悪い方向に考え始めた。もしかしたら完全に道に迷い、下手に動くと危ないと判断し、別のところで野営をするのかもしれない。幸いコウタロウ氏がライターを持っていて火を起こせる。いやその前に彼らは一緒にいるのか?1人だけはぐれてしまい探している可能性もある。もし見つかっていなかったら・・遭難!?そしてこのまま彼らが帰って来なければ自分自身も火を起こす手段がない。こんな絶不調な身体を抱えて、幸いテントと寝袋はあるが灯りのない漆黒極寒の砂漠で独り夜を迎える。











さ、サバイバルモードやん・・・!!










そんな取り止めもない想像を繰り返しながら、テントが見える範囲をウロウロ行ったり来たりして、サバイバルモード突入を完全に覚悟したその時、腹立つくらい和気あいあいと帰ってきましたよねー、お揃いで(´Д` )


一気に疲れが出てすぐ寝込みましたよね。


夜、取ってきたペヨーテを食べる。
ペヨーテは滋養強壮が凄く何十種類もの有効成分が身体にも良いとのことで、風邪も治るから!ということでひとつだけトライさせていただく。


苦い・・・・。


めちゃくちゃ苦い!!!


身近にある食べ物で例えるならゴーヤの3倍くらい苦い。ようやく小さな1個をミカンと一緒に食べきった。

効いてくるまで2時間ほどかかるということだったが、体調が最高潮に悪化していた自分だけテントで寝させてもらった。


2時間後、目をさますとテントの外からは星が色とりどりに見えるだのフワフワするだの、楽しそうな声が聞こえてきた。自分はというと、ただ暗いテントの天井が見えるだけ。楽しい色も音楽も聞こえてこない。ペヨーテの恩恵に預かることもなくそのまま朝を迎えた。

あとから聞いた話でもだいぶ楽しい現象が見られたとのこと。そのころになって嘘みたいに体調が回復した。

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待ち合わせ時間に1時間半遅れて来た迎えの車を延々と炎天下で待ち、ワドレーの街に帰還した。

おしまい

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